ヒヌカンの準備
引っ越し先の台所用に、ヒヌカン(火の神)を祀る用具を一式買ってきました。
一式といっても、何をどれだけ揃えればよいのかもわからず、
いちいちお店の人に聞きながら、です。
左から、線香を立てる香炉、塩を盛る平皿、花瓶、水飲みです。
それにしてもこういう道具は仏具として売られているんですよ。
神様用なのに、なぜ仏具? と突っ込みたくなりますが、ぐっと我慢です。
そりゃあ仏壇の前にも同様のものを置くけどさ、
仏壇といっても、ここは琉球神道だからね、仏教とは違うはずなんだけど。
ちなみに仏壇のご先祖様には、私たちを見守ってくださるようにお願いし、
もっと現世的な願い事(天気やお金?など)はヒヌカンにすればいいのだそうです。
ヒヌカンの方が私向きだね。
香炉と花瓶は、最初はもっと小さいサイズのものを選んだのですが、
日々使っているお店の人のアドバイスでこのサイズに。
本当は酒(もちろん泡盛)を注ぐためのグラスと
ご飯を盛る高槻のようなものが3個必要らしいけど、今回は省略。
なぜ3個?と聞いたら、そういうことになっているから、ですって。
花瓶にはチャーギ(コウヤマキのように、葉がとがって長細い木)の枝を
3本入れることになっているので、
あまり小さいと使いにくいのだとか。
実に的確なアドバイスです。
香炉に入れる灰と線香も買いました。
香炉に入れる灰は、何の灰でもいいんだけど、
よそからもらってはいけないのだそうです。
その家の邪気のようなものを運んでくるから。
それで新しいものを買いました。
旧暦の1日と15日に線香を立て、膝まづいて祈ります。
線香の立て方にも決まりがあって、
まず6本を横に並べた平たい線香を2枚重ねます。
6×2=12、つまり十二支、時の一巡りというわけですかね。
さらにその上に、3本分を重ねて火をつけ、香炉に立てます。
この3本分は自分の煩悩みたいなものを象徴しているらしい。
何度も燃やすうちに、灰がいっぱいになってきますよね。
その時はまず、香炉の上の方の灰をスプーンに3杯分ほど取り分けます。
これは自分の煩悩を燃やしたもの、つまり自分自身と同じだから、
決して捨ててはなりません。
そして下の方にあるただの灰を適当な量だけ捨てて、
煩悩が灰になったものはまた戻すんですって。
台所に置くものだから、香炉自身にも油がとんだりして汚れるけれど、
その時にも決して香炉の灰を捨てて空っぽにしたりはせず、
上の方をちょっと拭くだけなんだって。
そういう取り扱いを考えると、
やはり香炉も、ある程度大きいものが使いやすいんですって。
こんなふうに、大変おもしろい話をいろいろと聞くことができました。
おまけに「がんばってくださいね」という応援の言葉まで。
聞いた話から私が理解したことを書いただけだから、
きっとあちこちまちがっているだろうけどね。
多少やり方を間違えたり不手際があったとしても、
新たにお祀りしようという殊勝な心がけの持ち主である私に、
まさかヒヌカンが罰を下すということもないでしょう。
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